内視鏡手術
内視鏡手術(お腹の場合は腹腔鏡手術)とは、【小さな傷から細い専用のカメラを挿入して視野を確保し、鉗子 (かんし) と呼ばれる細長いピンセットのような器具を挿入して、手術を行う方法】です。
婦人科内視鏡手術は、子宮鏡手術と腹腔鏡手術に分類され、どちらも内視鏡カメラを用い行う手術となります。
子宮筋腫や卵巣嚢腫に対し、昔はメスでお腹を大きく切る手術が主流でした。
しかし、医療機器や医療技術の進歩により、傷の小さな手術である内視鏡手術が全国的に増加しており、現在は子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜筋腫等に対し多くの施設で施行されるようになりました。
内視鏡手術のメリットは・傷が小さい・手術後の痛みが少ない・入院期間が少ない・手術後の社会復帰が早い・手術後の腹腔内の癒着が起きにくい・肉眼では確認できないような病変を認識でき、繊細な手術が可能と言われてます。
現在には当院で行える内視鏡手術は日本産科婦人科内視鏡学会認定専門医による子宮鏡手術です。
子宮鏡手術
子宮の内部に液体を注入し子宮を膨らませます。 膨らんだ子宮の内部に、子宮口から内視鏡を入れ、子宮の内部をモニターで観察します。 そしてモニターを見ながら、子宮内膜ポリープや子宮筋腫を電気メスで切開し摘出します。
※専門医による手術ですので、手術の質を保たれます。
※日帰り手術となっております。
※手術の翌日に一般的に仕事も可能です。(力仕事及び激しい運動をお控えいただきたいです)
お気軽にご相談ください。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープとは子宮内膜にできる、イボ状の腫瘍のことです。約9割が良性で、ポリープの大きさは1センチに満たない小さいものから、数センチのもの、1個の場合から多数のものまで、大きさや一度に発見されるポリープの数もさまざまです。不正出血や過多月経などによっておこる貧血や、不妊の原因になることもあります。超音波(エコー)などの検査でこの病気が疑われた場合には、悪性かどうかも含め、詳細に判断するため子宮内膜検査及び子宮鏡手術をおこないます。
「過多月経」、「不妊」など、子宮内膜ポリープによる症状がある場合には、ポリープ摘出手術の対象になります。不妊症の患者さんはポリープを摘出することで、妊娠の可能性が増えることもあるといわれています。
子宮内膜(粘膜下)筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋層に発生する良性の腫瘍(筋肉のこぶ)で、婦人科領域の中でも発症頻度が高い病気です。30代後半から40代の女性の4割に子宮筋腫があるともいわれています。筋腫の大きさや発生する位置はさまざまで、発現する症状も異なります。子宮の筋層から外側に向かって飛び出すようにしてできる漿膜下筋腫は、あまり自覚症状が出ないため大きくなるまで発見されにくく、逆に、子宮内膜に向かって発育する内膜(粘膜下)筋腫は、1cmくらいのものでも、月経血の量が多くなります。不正出血や過多月経などによっておこる貧血や、不妊の原因になることもあります。子宮内膜(粘膜下)筋腫が疑われた場合には、子宮鏡検査及び子宮鏡手術を勧められます。
「過多月経」、「不妊」など、子宮内膜(粘膜下)筋腫による症状がある場合には、筋腫摘出手術の対象になります。不妊症の患者さんは筋腫を摘出することで、妊娠の可能性が増えます。
参考文献(いずれも当院徐医師が第一作者として発表した論文です):
・子宮鏡下子宮粘膜下筋腫切除術前にレルゴリクス投与の有用性の検討
・子宮鏡下子宮内膜下腺筋症摘出、術後妊娠になった1例
・不妊治療中に子宮鏡の有用性,当院24例の経験
・不妊症の治療に苦慮し、子宮鏡で慢性子宮内膜炎を認め、治療後自然妊娠になった1例
・子宮内膜症性卵巣嚢胞合併不妊に対し,腹腔鏡下二回手術後体外受精で妊娠になった1例
・妊孕性温存のために,巨大子宮粘膜下筋腫に対し子宮鏡手術の有用性,当院3例の検討
・子宮内膜症性卵巣嚢胞、子宮内膜ポリープ合併不妊に対し、腹腔鏡手術、子宮鏡下手術後妊娠になった1例
・不妊症の治療に苦慮し,慢性子宮内膜炎の治療後に自然妊娠を得た1例
・子宮内腫瘤に対し子宮鏡手術を行いadenomyomaと診断され、 術後自然妊娠に至った不妊症の一例
・難治性卵巣子宮内膜症性嚢胞に対し,腹腔鏡下嚢胞摘出術後再発,再度嚢胞摘出術後顕微受精で妊娠に至った不妊症の一例